「アフターコロナ」を迎えるために。

新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、特別措置法に基づく緊急事態宣言が全都道府県に拡大されました。事業者様は、受注や販売の低迷、仕入れや原材料調達の停滞、店舗の休業、工場稼働の停止など、様々な影響を被られ、先が見えない毎日に疲弊されていることと推察いたします。

 

収益回復の見通しが立たない状況下、第一に考えるべきは運転資金の確保です。政府系金融機関による「無利子・無担保融資」、民間金融機関による信用保証付き融資「セーフティネット保証」などを活用して、可能な限りの資金確保をお勧めいたします。売上高減少など一定の要件を満たせば、既往債務の借換も可能となる見込み(※1)です。

また、愛知県では県の要請を受けて休業する遊戯施設や学習塾、商業施設などに「休業要請に係る協力金(50万円)」が交付されることになりました。この協力金は、休業が要請されていない飲食店も、休業要請に沿った営業時間の短縮に応じた場合は交付されます。

さらに、新たな給付金制度「持続化給付金」の創設が打ち出されました。新型コロナの影響で売上が前年同月比で50%以上減少している中小企業や小規模事業者、個人事業主などが給付対象者となります。条件に合致すれば、法人には最大200万円、個人事業主などには最大100万円が給付(※1)されます。

雇用継続に関しては「雇用調整助成金」の活用が可能です。事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度です。中小企業の場合、助成率は通常2/3ですが、特例措置として助成率は最大9/10まで(※2)引き上げられております。これらの支援策を十分に活用しながら、「緊急事態」の影響を、可能な限り抑制していただければと思います。

新型コロナウイルス感染症対策に関する地域の融資・助成金・補助金の情報は、中小企業基盤整備機構のHPで地域別にまとめられていますのでご参照ください。

 

J-Net21中小企業ビジネス支援サイト|新型コロナウイルス関連(都道府県別)

 

しかし、この「緊急事態」は、いつ収束するのでしょうか。先の見通しが立たない以上、「緊急事態」は、一定期間続くことを想定しておく必要もあります。したがって、このような状況下でも、足元の資金繰りだけでなく、新たな収益源の確保を模索する必要があるといえます。飲食業ではテイクアウトに活路を見出しておりますが、それ以外にも様々な業種で、新たな取り組みに着手する事業者様がいらっしゃいます。

 

<ネイルサロンのT社様>

客数が減少する中、コロナ感染対策のアルコール除菌で手が荒れるという悩みが多いことに着目し、ハンドトリートメントを始められました。「ネイルのアートや手入れに興味はあるけど、手が荒れているから恥ずかしい」という理由で、ネイルサロンを敬遠していた顧客ニーズをヒントにしたサービスです。

<屋台・ガスボンベレンタル業のA社様>

イベント中止による予約キャンセルが相次ぐ中、従来は閑散期であった冬場で売上を取り戻すために、カフェのテラス席や工場で使用できる、屋外用ガスヒーターのレンタルを開始し、今から予約を受け付けています。

<繊維工業のI社様>

受注減少で稼働が低下した織機を活用し、抗菌・防ウィルスマスク生地の開発に着手しております。長年培った機能繊維に関する知見を活かした新商品開発であると言えます。

 

歴史小説家の吉川英治氏は「朝の来ない夜はない」という言葉を残しました。事業者様におかれましては、「緊急事態」の中でも、あるいは「緊急事態」の今だからこそ、新たなビジネスモデルの構築を図り、「アフターコロナ」を迎えるための準備も必要なのではないでしょうか。

実行支援を強みとする筆者も、関与先企業のお力になるべく日々奔走しております。お一人で悩まず、ぜひご相談ください。

 

※1は令和2年度補正予算成立が前提です。

※2は2020年4月1日~6月30日までの緊急対応期間の特例措置です。

最新情報は中小機構、経済産業省、厚生労働省などのサイトをご確認ください。