AI時代の「選ばれる」ということ。

先日、久しぶりに新規のお問い合わせをいただきました。

普段の仕事は、既存のお客様からのリピート受注や、そのお客様からのご紹介によるご依頼が大半を占めています。金融機関や公的機関、士業の先生方からご紹介いただくことも多く、まったく面識のない方から直接お問い合わせをいただく機会は、それほど多くありません。

そのため、「ホームページを見て連絡しました」というお電話をいただいたときは、正直なところ少し驚きました。

しかも、電話口から聞こえてきたのは女性の声でした。これまで女性のオペレーターによる営業や勧誘の電話を受けることが多かったため、「今回も何かの営業電話ではないだろうか」と、少々身構えてしまったのです。

後日、その方とオンラインで面談し、お問い合わせの経緯を伺って、さらに驚きました。

「ChatGPTで相談したところ、何人かコンサルタントの候補が出てきて、その中から森さんを選びました」

そのようなお話だったのです。

候補は4名ほどだったそうです。その中から筆者のホームページをご覧になり、「樹を見て、森も見る。」という言葉や、自然をイメージしたデザインが印象に残り、相談してみようと思ってくださったとのことでした。

この出来事は、筆者にとって小さくない衝撃でした。

これまでホームページは、検索を通じて人に見つけてもらうためのものだと考えていました。しかし今や、AIが情報を収集・整理し、相談内容に応じて候補を示す時代です。

そして、そのAIが整理する情報の中には、筆者自身も含まれていました。

ホームページに掲載したプロフィールや支援内容、仕事に対する考え方などが、「このような相談に対応できる人」という情報として蓄積され、今回の出会いにつながったのです。

もっとも、候補に挙がることと、実際に選ばれることは同じではありません。

ご相談者は、事業構想について一緒に考え、対話しながら進んでくれる「伴走者」を探しているとのことでした。次回は実際にお会いし、事業計画や支援内容について話し合う予定です。

お互いの考え方や価値観が合うのか。本音で話し合えるのか。そして、「この人と一緒に進んでいきたい」と思っていただけるのか。それは、実際に会ってみなければ分かりません。

最後は、人と人です。

これは、企業のマーケティングにも当てはまります。ホームページや商品情報、日頃の発信は、いまや人だけでなくAIにも読まれています。だからこそ、自社が何者で、誰にどのような価値を提供できるのかを、分かりやすく伝えておくことが重要です。

AIに見つけてもらい、人に選んでもらう。

AIが出会いのきっかけをつくる時代だからこそ、日頃の情報発信と、その先にある人と人との信頼関係が、これまで以上に大切になるのではないでしょうか。

中小企業診断士 森 正樹